「絆さん。
絆さんは、間違ってます。
春山さんが傷ついてるのは、あなたが俺と
会ってるからですか?
違いますよね?
だったら、俺と会わなくなったところで、
春山さんが救われる訳じゃない。
2人には、2人にしか分からない仕方のない
事情があった。
ただそれだけの事です。
絆さんが責任を感じる必要はありませんよ。」

章吾さんが言う事は、正論だろう。

だけど…

それでも…

「やっぱり、私は仁くんを傷つけておいて、
私だけこうしてるのは、自分が許せません。」

「………そうしてあなたは、春山さんだけでは
なくて、俺も傷つけるんですね。」

私は、はっとして顔を上げた。

そこには、悲しそうな章吾さんの顔があった。

< 225 / 318 >

この作品をシェア

pagetop