絆

ああ、どうすればいいんだろう。

私のせいで…

「俺は、今でも絆さんが好きです。
絆さんが俺を選んでくれれば、
俺はそれだけで幸せになれるんです。
俺じゃダメですか？
俺じゃ、絆さんを幸せにはできませんか？」

章吾さんの囁く声が切なく響く。

だけど、仁くんを傷つけておいて、私だけ章吾さんには甘えられない。

「章吾さんは、素敵な人です。
きっと章吾さんとなら、幸せになれると
思います。
だけど、仁くんを傷つけておいて、私だけ
幸せになるなんて…」

「絆さんの好きだった春山さんは、絆さんが
幸せになる事を望まない人ですか？
自分と同じように傷つく事を望む人ですか？」

ううん。
仁くんは、そんな人じゃない。

いつも私の事を思ってくれる人。