「そう…なの?」

「あいつは、経理の若手で1番の出世頭だ。
頭も切れるし、立ち回りがうまい。
絆が好きなのが桐生ならそれもいいけど、
違うなら取り込まれる前にやめておけ。」

私は何も言えなかった。

言われてみれば、私は桐生さんのいいように転がされてたような気もするから。

「絆は、何で仁を振ったんだ?
仁を好きだったんじゃないのか?」

「なんで、海翔くんが知ってるの?」

「結が言ってた。
仁と想い合ってるって。
将来、春山家と親戚になるかもって笑ってた。」

「結ちゃんのおしゃべり…」

「おいおい、結を責めるなよ。
母親が父親に必要事項を報告しただけだろ。
それより、なんで仁を振ったんだよ。
好きなんだろ?」

「それは…」

言えない。
遠距離がダメだなんて。
言ったら、海翔くんを責める事になる。

< 239 / 318 >

この作品をシェア

pagetop