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忘年会当日。

今日は、18時に会社を出て会場へ向かうつもりで朝からハイペースで仕事をこなす。

12時になり、同期と社食へ行こうとしたら、後ろから声を掛けられた。

「絆!」

振り返ると、結ちゃんが手を振ってやって来る。

「伊藤課長、なんですか?」

結ちゃんは、天くんと区別するために、ずっと旧姓で働いている。

「今日、3時に出るから、よろしくね。」

「は?」

「だから、忘年会!
浜井課長と春山部長の許可は
取ってあるから。」

「だからって、なんで3時?」

「絆、ピアノ弾くんでしょ?
リハを兼ねて、練習させてくれるらしいから。」

「そうなの? それは助かる。」


普通の楽器演奏者は、バイオリンなどの弦楽器もトランペットなどの管楽器も、自分の楽器を持って会場入りし、使い慣れた楽器で演奏する。

だけど、ピアニストは、その会場のピアノを使い演奏するから、会場によって音の出方が変わる。

鍵盤が重い、軽い。
音が硬い、柔らかい。
響く、こもる。

事前に演奏させてもらえると、調整できてとっても助かる。
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