「俺には言えないか。」

私が無言で俯いていると、海翔くんが大きな手で私の頭を撫でた。

「絆から聞きたかったんだけどな。
絆、知ってるか?
俺の情報源は、結だけじゃないんだぞ?」

「え?」

「絆は、遠距離が嫌で仁を振ったんだろ?」

「な…んで…?」

私はうろたえる。

「くくっ
絆、忘れてないか?
仁の父親は、俺の親友だぞ?」

「あ…」

「正直に言えばいいのに。
なんで別れたの?
なんで私を育ててくれなかったの?
って。」

「言えないよ。
私は十分幸せだったし、みんなからちゃんと
愛されてる自覚もあるし。」

「それでも、実の両親に育てられたかった
って思いがあるのは、別に悪い事じゃない。
むしろ、俺たちが絆に背負わせた重荷
なんだから、俺たちが謝罪すべき事だよ。
絆、育ててやらなくて、ごめんな。」

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