海翔くんはお茶をひと口飲んで続ける。

「転勤後は仕事が忙しくてしばらくは
会えない事。
仕事が落ち着いたら、結を迎えに行くつもり
だった事。
何より、結を心から愛してた事。
それを伝えなかったばっかりに、結は、俺が
浮気してるって疑って泣いて、小川に縋った
んだよ。
結は、俺の転勤が決まった時に、一緒について
行きたいって言ってくれた。
だけど、地獄のような忙しさになるのが
分かってた俺は、結をそんな所に連れて
行きたくなくて、心配もさせたくなくて、
何も言わず、結をおいていったんだ。
大切な事をちゃんと伝えなかったから、
不安にさせて俺たちは壊れた。
別れる時、結は言ってた。
もし、俺が、ちゃんと事情を話して、迎えに
来るから待ってろって言ってたら、ちゃんと
待ってたって。
悪いのは、遠距離じゃない。
大切な事を伝え合わない事で信頼関係が
壊れる事なんだ。」

< 242 / 318 >

この作品をシェア

pagetop