私は首を横に振った。

天くんとも遠距離だったなんて聞いてない。

しかも、全く連絡も取らなかったなんて。

「海翔はね、私の事を思って、あえて何も
言わなかった。
私は、ずっと海翔が好きだったけど、海翔、
あのルックスでしょ?
私、自分に自信がなかったの。
海翔は絶対に裏切らない、私だけを愛してる
って思ってたら、多分、私は海翔と結婚してた。
だけど、私は愛されてる自信がなくて、家事を
して、海翔の世話を焼いて、ようやく海翔を
繋ぎとめてると思ってた。
だから、海翔に会えなかっただけで、海翔は
私の他に好きな人ができたんだと
思っちゃったの。
それを慰めてくれたのが、天だった。
天は真っ直ぐに私にぶつかってくれたから、
天の愛情を疑う事はなかった。
あなたがお腹にいるって分かった時、私は
海翔より天が好きなんだって
初めて気づいたわ。
天も、自分が父親になるって言ってくれた。
だけど、私は、あなたのために海翔と結婚
しようと思った。
だって、海翔の子を、天がこんなに
かわいがってくれるなんて、その時は
思いもしなかったもの。
けど、天を忘れられなくて苦しんでたら、
お姉ちゃんが結婚を止めてくれたの。」
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