「え、それは、だって…」

「決めた。
星、追い返してくる。」

「え!? ちょっと、待って。」

「待たない。」

「だって、結ちゃんも天くんも仁くんに会いに
来てるの知ってるんだよ?」

「いいじゃん。
どうせ結婚するんだし。」

いやいや、よくないし。

「ね、待って、仁くん!」

仁くんは、私を残して立ち上がると、さっさとロビーへ向かって歩いていく。


「星、今日は絆を連れてきてくれて
ありがとう。」

え?

仁くんは星くんにお礼を言った。

「どういたしまして。
じゃ、俺、帰るから、絆をよろしく。」

え?

星くんは、さっさと歩いていく。

「え、ちょっと、星くん!」

私が声を掛けると、立ち止まった星くんが走って戻ってきた。

「絆、これやる。」

星くんは財布から何かを取り出して私に握らせた。

「じゃあな。」

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