星くんを呆然と見送ってから、自分の手に残されたものを見た。

!!
これって…

星くん!!!


仁くんが私の手を覗き込もうするので、私は慌てて手を握って隠した。

「何?」

仁くんが不思議そうに私の手を見つめる。

「な、何でもないよ。」

うろたえた私は挙動不審になる。

「何でもなくないでしょ。
見せて。」

「いや、これは、その…」

「………絆は俺に秘密を作るんだ。
俺は何でも絆と共有したいと思ってるのに。」

仁くん、その言い方はずるい。

「絆、見せて?」

私は諦めて右手を差し出した。

仁くんは一瞬、目を丸くして、くすっと笑った。

「お目付役の許可ももらえたし、これは俺が
預かっとくね。」

仁くんは、私の手からそれを取り上げると、耳元で囁いた。

「あとでゆっくり使おうね。」

仁くんはくすくす笑ってる。

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