「仁くん!! 夜景がすっごく綺麗だよ!!」

私は窓に張り付いた。

後ろから仁くんが歩み寄る。

仁くんが私の後ろから腰に腕を回してお腹の前で手を組む。

私の頭に頬を寄せて仁くんは言う。

「絆の方が綺麗だよ。」

どうしよう。

嬉しくて恥ずかしくて心臓がバクバク鳴ってる。

f f Prestissimo
フォルティッシモでプレスティシモ
非常に強く、極めて速く

こんな曲、指がつりそう。
絶対弾きたくない。

「くくっ
絆、どうした?」

「べ、別に…」

「なんか、また迷宮に迷い込んでない?」

「そんな事ないし。」

「じゃあ、何、考えてた?」

「………こんな曲、絶対に弾きたくない。」

「は?」

「心臓がうるさくて、フォルティッシモで
プレスティシモだなって。
そんな曲、指がつりそうで嫌だなって
思ってた。」

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