「くくっ
絆らしい。
そうか。
フォルティッシモでプレスティシモなんだ。
じゃあ、アレグロ・モデラートぐらいに
しようか。」

そう言って仁くんは、私の耳をかぷっと咥えた。

っ!!!

全っ然、アレグロ・モデラートじゃないし!!

Allegro moderato
アレグロ・モデラート
ほどよく快速に

仁くんの嘘つき!


だけど、私はそんな仁くんが大好きで…

だから、仁くん、ずっと私といてね。


「絆、おいで。」

仁くんが微笑んで私の手を引く。

仁くんは、ポケットから、さっき星にもらった包みを取り出す。

「星からのプレゼント、使おう?」

ボッッ!!
今、顔だけじゃなくて、全身が燃えた気がする。

「絆、何、照れてるの?
この前は、絆から誘ったくせに。」

「っ!!
あ、あれは!!」

ほんとに仁くん、いじわる。

そんな事言わなくてもいいのに。

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