なのに、彼女は何の賞も受賞しなかった。

何でだ?

上手すぎた?

中学生らしさに欠けた?

おかしいだろ。


憤る俺の所に、親父の同僚の宮本さんと小川さんがやってきた。

宮本さんたちとは、たまにバーベキューやボーリングなど一緒に遊ぶ事があり、面識がある。

その後ろにあの子!

宮本さんの娘だと紹介された。

俺は恥ずかしそうに大人達の陰に隠れる彼女と連絡先を交換した。

俺が出るコンクールを知らせたり、彼女が出るコンクールを聞いたり、季節ごとに他愛のないメッセージを送り合った。

コンクールの度に絆と再会し、家族ぐるみで食事に行った。

恥ずかしがり屋の彼女だったが、それはどうも俺に対してだけのようで、俺以外の人、例えば、俺の親父とか他の出演者などには、明るく気さくに話しかけていた。

何で?

俺、なんかした?

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