親父に帰国日程を連絡したら、その日、ホテルで忘年会があると言われた。

しかも、絆が親父の部下だっていう。

は!?
なんで絆がピアノを辞めてんだよ。
意味分かんねぇし。

俺は、その忘年会でノーギャラでピアノを弾く事を提案した。

条件は絆との共演。

絆がピアノを完璧に辞める訳がない。

絶対、職業にしてないだけで、まだ弾いてるはず。

俺はそれを確かめたかった。

案の定、絆は俺の提案に乗ってきた。


帰国当日、俺は会場で絆のピアノをこっそり聴いた。

やっぱり、絆のピアノは心に響くいいピアノだ。

俺は思わず、演奏後の絆に抱きついていた。

「絆、会いたかった。」

俺の突然の行動に、絆は慌てて腕を振り解こうとしたが、相手が俺だと分かると、されるがままに大人しくなった。

ほら、やっぱり、俺の事、好きじゃん。
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