絆

ところが、簡単に玉砕した。

遠距離がダメらしい。

なんだ、それ？


動揺した俺は、せっかく連絡先を交換したのに、しばらく連絡できなかった。

だけど、みすみす他の奴に絆を取られるのは、許せない。

俺はずっと真剣に絆を思ってきたんだ。


俺は、8年間の募る思いを曲にしていた。

クリスマスコンサートで、絆に向けて演奏する。

俺は、ステージ上から、泣き崩れる絆を見た。

伝わった！ そう思った。


終演後、いくら待っても絆は楽屋に現れない。

心配になった俺は、客席に向かった。

そこには、涙に濡れる絆が1人で座っていた。

だけど、そんなに泣いてるくせに、絆は俺が好きだという自覚は、今もなお、持っていなかった。

はぁ…

仕方ない。

3ヶ月でなんとしても、自覚させよう。