絆に想いが通じた! と思った。

俺は、一緒にいたい思いを押し殺して、絆を家に送り届けた。

俺と海外に行ってしまえば、しばらくは帰って来れないかもしれない。

今のうちに家族と過ごさせてやりたい。

そう、思ったから。



翌日、絆は東京へ帰る前にホテルの俺の部屋へ来てくれた。

俺は何度もキスをする。

絆は俺の背中にしがみついてキスを受け入れる。

俺は絆を離したくなくて困った。

すると絆は、買い物に行こうと言う。

俺が贈った指輪のように、いつでも絆を感じられる何かを。

嬉しい。

絆が俺の贈ったリングで、俺を感じていてくれるという事が。

俺にも絆を感じさせたいと思ってくれる事が。

俺は、新幹線のホームで、名残惜しんで絆を抱きしめた。




俺は、それから、毎日、絆に電話した。

何の用がある訳でもないが、その日にあった事を取り留めもなく話すだけで、絆を感じられた。

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