だけど、そんなある日、俺は親父から平手打ちをされた。

親父なりに加減したんだろう。

痛かったけど、腫れるほどではなかった。

だけど、平手打ちより、親父の言葉の方がキツかった。

「お前だけが不幸だと思うな。
栗原がなんでお前じゃダメだと言ったか
分かるか!?」

「………遠距離だから。」

「だから、お前は振られたんだよ。
遠距離だからじゃない。
お前とじゃ、遠距離を乗り越えられないと
思ったから、振られたんだ。
お前が今すべき事は、メソメソ泣く事じゃ
ない。
お前とだったら、遠距離でも大丈夫だと
思わせる事だよ。
どうすれば、栗原を安心させられるか、
どうすれば、栗原に信じさせてやれるか、
お前は考えたか?
お前の気持ちを押し付けるだけじゃなく、
栗原のために、お前は何かしたのか?」

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