出番と言われて、にわかに緊張してきた。

ちゃんと弾けるかな。

仁くんの足、引っ張ったりしないかな。

私が固まってると、仁くんが私の正面に回って、その大きな両手で私の頬を包み込んだ。

「絆。
いつも通りの絆でいいから。
俺だけを見て。
俺とひとつになればいい。
大丈夫。
何があっても、俺が守るから。」

そう言うと、仁くんはそのままおでこをコツンと合わせた。

きゃー!!
何これ!?

今度は緊張とは違うドキドキが襲ってくる。

仁くんは私から離れると、私の手を握って歩き出した。

私は、混乱してよく分からないまま、仁くんについていく。

会場の入り口で総務の人が立っていた。

「今、司会者に連絡して参ります。
こちらで少々お待ちください。」

そう言って、担当者は中に入っていく。

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