「仁、いつになったら、親のところへ挨拶に
来るんだ?
一年ぶりの帰国だぞ?」

「親父とは1年ぶりだろ?
絆とは8年ぶりなんだ。
当然、絆が優先だろ。」

「ふぅぅ…
しようのないやつだな。」

春山部長は、ため息を吐いた。

「春山、そこで諦めるなよ。」

海翔くんが口を挟む。

「仁、女の子の親の前で肩を抱くなんて、大胆
すぎないか?」

海翔くんの横で天くんも怖い顔をしている。

「海翔くん、天くん!
あのね、違うの!
仁くんは、外国暮らしが長かったから、
しょうがないのよ。
文化の違いよ。
他意はないのよ。」

「絆は黙ってろ。」

天くんが言う。

「なんでよ?
だいたい、今は『会社の』忘年会なのよ!?
親の顔は見せないで、上司に徹してよ。」
< 53 / 318 >

この作品をシェア

pagetop