大学へは、30分ほどで到着した。

仁くんは、やっぱり手を繋いで歩く。

私が高校生の時もそうだった。

なんでかなぁ。

保護者?

仁くん、お兄さんだからかな?


仁くんは5人兄弟の1番上だ。

仁くんの下に、妹、妹、妹、弟と続く。

だから、仁くんの家では、ピアノの取り合いを避けるために、女の子はバイオリン、男の子はピアノを習ってるらしい。


私は疑問に思いながらも、仁くんに手を引かれて、ホールへ向かった。

仁くんは教授とここで待ち合わせてるらしい。

ホールに入って見渡してみたが、教授はまだいらっしゃらないようだ。

「絆、ピアノ弾こうぜ。」

仁くんは、ステージに上がり、ピアノの蓋を上げる。

「ふふっ
仁くん、ほんとにピアノ好きね。」

「絆は、なんでピアノやめたんだ?」

「私の実力じゃ、ピアニストには
なれないもん。」
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