「そうだ!
仁くん、ドレスありがとう。
昨日、言おう、言おうと思って、忘れてた。」

「そんなのいいよ。
綺麗な絆を見られたら、俺も嬉しいし。」

「でも、残念だなぁ。
仁くんと違って、私はもう着る機会が
ないから。」

「着ればいいじゃん。」

「普段、着るわけにはいかないでしょ?
もう、コンクールも発表会もないし。」

「じゃあ、24日、ステージに上がる?
また、2人でソナタ、弾いてもいいよ?」

「っ!!
絶対、無理!!」

私が焦って言うと、仁くんは笑った。

「絆なら、大丈夫なのに。」

「やだ。
仁くんのピアノ、落ち着いて聴きたいもん。
私がステージに上がったら、緊張して仁くんの
ピアノ聴けないじゃない。」

「じゃあ、結婚式だな。
お色直しで着ればいい。」

「そっか。
そういう手もあるんだね。
覚えておくよ。」
< 66 / 318 >

この作品をシェア

pagetop