すると、仁くんが私の顔を覗き込んだ。

「絆、結婚の予定、あるの?」

「ふふっ
あるわけないでしょ。
でも、いつかは、私も結婚したいもん。
それまで、とっておくよ。」

「絆は好きな奴いないの?」

「うん。
ていうか、そもそも『好き』って
どういう事か、よく分からなくて…
この間も陽くんに
それ、突っ込まれたんだよね。」

「じゃあ、俺と付き合ってみる?」

「は?
仁くんと?
もう! 冗談はやめてよ。」

全く、いつから仁くんて、こんなタチの悪い冗談を言うようになったの?

「なんで?
好条件だろ?
収入はあるし、趣味は合うし、何より、絆、
俺のこと好きだろ?」

「そうだけど…
でも、仁くんは、ない!」

「なんで?」

「仁くん、日本にいないじゃない。
私、遠距離だけは、ダメなの。」
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