「え? 何ですか?」

「実は、ずっと駅前のジャズバーに
行きたかったんですが、お恥ずかしい話、
1人で行く勇気がなくて…
一緒に行ってもらえませんか?」

桐生さんは、申し訳なさそうに言う。

「あ、奥田さんももしよろしければ、
ご一緒にどうですか?」

隣の杏菜の視線に気づいた桐生さんは、慌てて付け加える。

駅前のジャズバーって、前に海翔くんが言ってたとこかな?

だったら、ものすごく行ってみたい。

「そこ、行ってみたかったんです!
でも、私なんかでいいんですか?
桐生さんなら、一緒に行ってくれそうな女性、
たくさんいると思いますけど。」

「いませんよ、そんな人。
栗原さんなら、音楽がお好きかなと思って。」

「私でよければ、ご一緒させてください。
杏菜も行くよね?」

「いつですか?」

杏菜が聞いた。
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