そしたら、桐生さんは、とっても嬉しそうに顔を綻ばせた。

だから私は、なんだかとてもいい事をしたような気分になる。

すると、桐生さんは、

「ありがとうございます。
じゃあ、明後日のクリスマスイブ、一緒に
どこか出かけませんか?」

と言った。

だけど、24日は…

「ごめんなさい。
この前の忘年会の時に、春山仁さんから
クリスマスコンサートのチケットを
いただいたので…」

「そうでしたか。
春山仁さんとは、とても仲よさそうに
見えましたが、以前からのお知り合い
なんですか?」

「はい。
ピアノのコンクールでいつも一緒だったん
です。
春山部長の息子さんですから、
実の両親から紹介されて…」

「そうだったんですね。
なんだか、親しげだったから、ちょっと
春山さんに嫉妬してしまいました。」

桐生さんは、バツが悪そうに苦笑いを零す。

「また、誘ってもいいですか?」

桐生さんがまっすぐに私を見るから、私は、思わず、

「はい。」

と答えていた。

その後、桐生さんは、私を家まで送ってくれて、爽やかに帰っていった。
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