今日は、仁くんにメッセージだけ送って帰ろう。

明日にでも、日を改めて、会いに行けばいい。

私は、スマホを取り出して、メッセージを打つ。

『今日は、招待ありがとう。
演奏、素敵でした。
感動しすぎて、今、とても仁くんに会える状態
じゃないので、また日を改めて会いに
行きます。』

私が送信ボタンを押すと、なぜかすぐ近くで着信音が鳴った。

私が振り返ると、そこには、仁くんがいた。

「絆?」

仁くんは、私からのメッセージを開いた。

くすっ
メッセージを読んだ仁くんは、笑みを零す。

「絆、何、言ってるの?
俺は、そんな絆に会いたいよ。
綺麗に感情を整理して、取り繕った絆じゃ
なくて、素直に感情のまま
俺と向き合ってよ。」

仁くんは、私の隣の席に座った。

半身になり、ハンカチで顔を覆う私の方を向いて、頭を撫でてくれる。

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