「俺、別に何も言ってないだろ?
それくらいであっさり諦めるなら、そいつは
本気じゃないんだよ。」

「本気になる前にそうやってあんた達が
潰してきたんじゃない。
音大は、ただでさえ、男が少ないのに。」

「そうねぇ。
陽、絆のために合コンでもしてやりなさい。」

結ちゃんが言う。

「いいけど、絆、年下でもあり?
バスケ選手はなしなんだろ?」

陽くんは、実業団のバスケ選手だ。

私は将来のために堅実な職業に就いている男性と結婚したい。

「引退後もちゃんとその会社で仕事が
できる人ならいいよ。
引退したら、首になったり、自分で
辞めちゃったりする人はダメ。
できれば年上希望だけど、
収入が安定してるなら、年下でもいいよ。」

「ふぅぅ…
言っていい?」

陽くんがため息を吐いて言った。

「何よ?」

「その条件、出世目当てで絆に寄ってくる
奴と、どう違うの?」
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