「くくっ
いや、嬉しかったよ。」

「え? なんで?」

「だって、親子喧嘩なんて、お互い
信頼し合ってないと出来ないだろ?
遠慮し合う関係なら、絶対喧嘩にはならない。
絆は、俺に怒っても俺が絆を嫌わないって
思ってるから、怒れるんだろ?」

そう言われてみれば、そうかも。

3人の父親の中で、誰よりもうるさくて面倒くさいお父さんだけど、天くんが私をかわいがってくれてるのは、よく分かってる。

思えば、まだ天くんを叔父さんだと信じて疑わなかった子供の頃から、私をかわいがってくれてた。

私は、天くんの肩車が好きで、小学4年生くらいまでしてもらってた。

天くんの肩車は、お父さんのより、ずっと高くて楽しかったから。

しかも、小学4年生で結ちゃんを抜いて身長150㎝に達した私は、お父さんどころか、もう誰も肩車なんてしてくれなかったけど、体育会系な天くんだけは、私を肩車してくれたんだ。
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