雪の王子様





お茶の間に行くと、お茶が用意されていた。




「ねぇ、おばあちゃん。前にナツキは何の王子様か聞いたじゃない?私、分かったよ。」




そう言うとおばあちゃんは一瞬目をまるくさせた。




「何の王子様だったんだい?」




ナツキは…




「雪の王子様。いつも雪が降る前にいなくなるの。ナツキがいなくなると、雪が降る。」




「そうか、風嘉にとってはナツキは雪の王子様なんだね。」




ただ、微笑んで言うおばあちゃんは、冷たい外の空気とか違って、温かかった。





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