茶色の屋根の家の中
しずかだけど、楽しいまちがありました。
そのまちのはずれに、茶色のやねの小さな家がありました。その家には、おばあさんが、一人ですんでいました。
茶色のやねは、古くて、こわれていて、とてもきみがわるくて、この家の前をとおる人はいませんでした。
おばあさんは、ときどき、まちに買いものに行きました。
出かけていく、おばあさんは、ふるいようふくをきていました。レースは、きばんでいて、きたならしく見えました。
このようすをみていた、兄弟がいました。
兄は弟に、おばあさんのあとをつけていこうといいました。古いようふくをきたおばあさんが、どんな家で、どんな生活をしているのか、見てみようと思ったのでした。
おばあさんの後を、しばらくついていくと、あの古くて、きみのわるい家の中に入って行きました。
兄弟は、家の中をのぞこうとしましたが、たくさんの木がしげっていて家の中は見えませんでした。
「さあ、おれのかたに、のるんだ」
兄は弟に、言いました。
弟は兄のかたにのりました。すると、おばあさんの家の中が、少しだけ見えました。
「兄さん、見えるよ」
「どんなふうになっているんだい?」
兄は、ふふふっとわらいだしてしまいました。
きっと、おばあさんは、ゴミだらけの家で、きたないゆかで、きたないテーブルで、きたないお皿をつかっているんだろう。そんなふうに考えていたのです。
「どのぐらいゴミは、あるんだい?」
兄は、また、聞きました。
「そうだね、ゴミはない。お茶をいれているよ。ピンクのティーポットで」
「あの、ばあさんが、ピンクのティーポット!そんなわけないだろう。ゴミは、どのぐらいあるんだ?」
「だから、ゴミはないよ」
兄は、おこりました。弟は、何かだいじなものを見ていないと思ったのです。弟をかたからおろすと、大いそぎで家へ帰りました。
そして、となりの家にすむマリちゃんに声をかけました。
「まちはずれの、古い家にすんでいるおばあさんのところにあそびに行ってみないか」
女の子なら、おばあさんは家の中に入れてくれるかもしれないと思ったのです。
マリちゃんも、あの古い家のことは知っていました。ですから、きみわるがって、いやだと言いました。
「ピンクのティーポットで、お茶をいれているらしいんだ」
ピンク色のかわいらしいポットが目にうかび、マリちゃんは、つぎの日、おばあさんの家に行ってみることにしました。
兄弟は、マリちゃんのあとをついて行きました。
茶色のやねの古い家まで来ると、さて、おばあさんに、とくにようじがあるわけではありません。
おいしげった木をながめたり、門から、そうっと家の中をのぞいてみたりしました。
そのようすを、少しはなれたところから、兄弟は見ていました。
マリちゃんが、そろそろ帰ろうとしたとき、おばあさんが家の中から出て来てきました。
「いっしょに、お茶をのみませんか」
マリちゃんは、さそわれるまま、家の中へ入ってしまいました。
「それ、中へ入ったぞ」
兄は、弟をつれておばあさんの家へ行くと、弟をかたにのせました。
「どうだい、ゴミだらけの家が見えるか」
「そうだね、なんだか、楽しそうにはなしているよ」
「そんなわけないだろう」
兄は、弟のかたにのり、自分が家の中を見てみたいと思いました。自分より小さい弟のかたにのるわけにはいきませんでした。
そのときでした。
古い家の中から、おばあさんが出て来たのです。
「ぼうやたち、さいきん、よくみかけますね。どうですか。そんなところで見ていないでお茶でものみませんか」
弟は、よろこんで家に入りました。兄は、少し考えてから家の中に入りました。
兄弟は、家の中に入ると、とてもおどろきました。
部屋のすみずみまで、ほこり一つなく、きれいにそうじされていたのです。
そのきれいな部屋で、マリちゃんがにこやかに言いました。
「そんなところにいないで、いっしょのお茶をのみましょう。おばあさんのお茶は、とてもおいしいのよ」
弟は大喜びですが、兄はふまんそうです。
「今日は、マドレーヌもやいているの。いっしょに食べましょう」
おばあさんにいわれて、兄はやっとえがおになりました。
おばあさんのやいたマドレーヌをたべると、兄弟は、えがおになりました。
部屋の中は明るく、かべにはたくさんのしゃしんがあります。
「このしゃしんは、おばあさんのかぞくなんだって」
みんなわらっています。
「このふくは、わたしのおかあさんがつくってくれたの」
おばあさんは、いいました。
「なんども、なんども、あらって、きばんでしまったけど」
おばあさんは、おばあさんの、おかあさんがつくってくれたようふくを、だいじにきていたのでした。
それは、マリちゃんや兄弟からみると、とてもふるいようふくでしたが、おばあさんにとっては、とてもだいじなものでした。
この家は、おばあさんの、そのまたおばあさんのころからすんでいて、とてもふるいのです。
それで、きみがわるくみえたのかもしれません。
まちのはずれの、茶色のやねの小さな家は、やさしいおばあさんの家でした。
そのまちのはずれに、茶色のやねの小さな家がありました。その家には、おばあさんが、一人ですんでいました。
茶色のやねは、古くて、こわれていて、とてもきみがわるくて、この家の前をとおる人はいませんでした。
おばあさんは、ときどき、まちに買いものに行きました。
出かけていく、おばあさんは、ふるいようふくをきていました。レースは、きばんでいて、きたならしく見えました。
このようすをみていた、兄弟がいました。
兄は弟に、おばあさんのあとをつけていこうといいました。古いようふくをきたおばあさんが、どんな家で、どんな生活をしているのか、見てみようと思ったのでした。
おばあさんの後を、しばらくついていくと、あの古くて、きみのわるい家の中に入って行きました。
兄弟は、家の中をのぞこうとしましたが、たくさんの木がしげっていて家の中は見えませんでした。
「さあ、おれのかたに、のるんだ」
兄は弟に、言いました。
弟は兄のかたにのりました。すると、おばあさんの家の中が、少しだけ見えました。
「兄さん、見えるよ」
「どんなふうになっているんだい?」
兄は、ふふふっとわらいだしてしまいました。
きっと、おばあさんは、ゴミだらけの家で、きたないゆかで、きたないテーブルで、きたないお皿をつかっているんだろう。そんなふうに考えていたのです。
「どのぐらいゴミは、あるんだい?」
兄は、また、聞きました。
「そうだね、ゴミはない。お茶をいれているよ。ピンクのティーポットで」
「あの、ばあさんが、ピンクのティーポット!そんなわけないだろう。ゴミは、どのぐらいあるんだ?」
「だから、ゴミはないよ」
兄は、おこりました。弟は、何かだいじなものを見ていないと思ったのです。弟をかたからおろすと、大いそぎで家へ帰りました。
そして、となりの家にすむマリちゃんに声をかけました。
「まちはずれの、古い家にすんでいるおばあさんのところにあそびに行ってみないか」
女の子なら、おばあさんは家の中に入れてくれるかもしれないと思ったのです。
マリちゃんも、あの古い家のことは知っていました。ですから、きみわるがって、いやだと言いました。
「ピンクのティーポットで、お茶をいれているらしいんだ」
ピンク色のかわいらしいポットが目にうかび、マリちゃんは、つぎの日、おばあさんの家に行ってみることにしました。
兄弟は、マリちゃんのあとをついて行きました。
茶色のやねの古い家まで来ると、さて、おばあさんに、とくにようじがあるわけではありません。
おいしげった木をながめたり、門から、そうっと家の中をのぞいてみたりしました。
そのようすを、少しはなれたところから、兄弟は見ていました。
マリちゃんが、そろそろ帰ろうとしたとき、おばあさんが家の中から出て来てきました。
「いっしょに、お茶をのみませんか」
マリちゃんは、さそわれるまま、家の中へ入ってしまいました。
「それ、中へ入ったぞ」
兄は、弟をつれておばあさんの家へ行くと、弟をかたにのせました。
「どうだい、ゴミだらけの家が見えるか」
「そうだね、なんだか、楽しそうにはなしているよ」
「そんなわけないだろう」
兄は、弟のかたにのり、自分が家の中を見てみたいと思いました。自分より小さい弟のかたにのるわけにはいきませんでした。
そのときでした。
古い家の中から、おばあさんが出て来たのです。
「ぼうやたち、さいきん、よくみかけますね。どうですか。そんなところで見ていないでお茶でものみませんか」
弟は、よろこんで家に入りました。兄は、少し考えてから家の中に入りました。
兄弟は、家の中に入ると、とてもおどろきました。
部屋のすみずみまで、ほこり一つなく、きれいにそうじされていたのです。
そのきれいな部屋で、マリちゃんがにこやかに言いました。
「そんなところにいないで、いっしょのお茶をのみましょう。おばあさんのお茶は、とてもおいしいのよ」
弟は大喜びですが、兄はふまんそうです。
「今日は、マドレーヌもやいているの。いっしょに食べましょう」
おばあさんにいわれて、兄はやっとえがおになりました。
おばあさんのやいたマドレーヌをたべると、兄弟は、えがおになりました。
部屋の中は明るく、かべにはたくさんのしゃしんがあります。
「このしゃしんは、おばあさんのかぞくなんだって」
みんなわらっています。
「このふくは、わたしのおかあさんがつくってくれたの」
おばあさんは、いいました。
「なんども、なんども、あらって、きばんでしまったけど」
おばあさんは、おばあさんの、おかあさんがつくってくれたようふくを、だいじにきていたのでした。
それは、マリちゃんや兄弟からみると、とてもふるいようふくでしたが、おばあさんにとっては、とてもだいじなものでした。
この家は、おばあさんの、そのまたおばあさんのころからすんでいて、とてもふるいのです。
それで、きみがわるくみえたのかもしれません。
まちのはずれの、茶色のやねの小さな家は、やさしいおばあさんの家でした。