愛のない部屋
第2章
ニセモノの恋
それから半日以上寝て、何事もなかったようにリビングへ顔を出した。
あんなことがあっても人間って眠れるんだな。
リビングの電気は点いているようだけど、物音がしないことに違和感を覚えて静かに歩いた。
ソファーで座ったまま寝てしまっている峰岸の姿がすぐに目に入った。
肘掛けに肘をつき、その上に頬をのせて眠っている。
羨ましいくらいの長い睫毛。
眠る姿も絵になるよ。
疲れているのだろう。
それが分かっていたからこそ敢えて起こした。
「峰岸、峰岸」
数回名前を呼びながら揺すれば、静かに目を開いた。
「……あ、」
「ちゃんとベッドで寝た方が疲れがとれるよ」
「……」
じっと私を見た峰岸。
まだ寝ぼけているのかな。
「あんなことしたのに、普通に接してくれるんだな」
せっかくいつも通りにしているのだから、何も言わずに合わせてくれればいいものを。
意地悪だよね。
「あれくらいのことで、いちいち気にしてたら…」
「俺にとってはあれくらいのことじゃ、済まされないんだけど」
「……」
また話をぶり返すつもり?