愛のない部屋
「ん…」
私もいつの間にか寝ていたようだ。
「あれ?」
車内に取り残されたようで、辺りを見回しても誰もいない。先に眠ったはずの舞さんの姿もない。
彼女だけを起こして私は放置?
置いていかれたのかと少し焦りつつ、外に出る。
もう太陽は見えず、辺りは薄暗い。
どうやらここは駐車場で、少し先にコンビニと呼ぶには活気のない売店があり、
そこに3人の姿が見えた。
「話が違う!」
「まぁまぁ、」
峰岸が大声を上げそれをタキがなだめているようだ。
常に不機嫌な雰囲気をまとっているが自分の機嫌に左右され、周りに不快を与えるような人じゃない。
峰岸が怒鳴るのにはきっと大きな理由があるはずだ。
「俺たちは帰るよ」
俺たち、そこに私も含まれているのだろうか。
「意気地無しだな!」
「俺のなにが分かるんだ!」
満面の笑顔のタキと対象的に、峰岸の声がまた大きくなった。
少しずつ近付いても3人は気付かないようだった。
「マリコのこと、まだ引きずってるのか?」
思わず立ち止まる。