愛のない部屋
「たこ焼きなんざ、また食べれば良いだろう。どうしても此処のたこ焼きが好きだと言うんなら来年も来れば良いし」
未来を約束する言葉。
確かな未来が、峰岸には見えているのだろうか。
私の目には、なにも映らない。
「この先、アンタと私が一緒にいるかどうかだって分からないじゃない」
出逢いは、突然。
ならば別れも突然やってきてもおかしくない。
「保証がない未来だからこそ、人は今を大切にするのかもな」
そんなこと分かってる。
かけがえのない2人きりの時間も、本当はもっと大切にしなければいけないと思う。
皮肉を言い合ったり、口論してる場合ではないと理解しているのにどうしても素直になれない心。
「それでも来年も俺はおまえの隣りにいるよ」
「なんで言い切れるのよ?」
迷いのない真っ直ぐな目は、自信に満ちている。
なんでって?
そう言いながら、愉快そうに笑う。
「俺がおまえを離さないから」
力強い言葉が、頭の中をこだました。