愛のない部屋
魚介のパスタがお勧めのようなので私も同じものを頼んだ。
「修吾との結婚、決断するまで長い時間がかかったんです。それでもまた決意が揺らぎました。あの罰ゲームで修吾は今まで沢山の女性と……遊んでいたことを知って」
「それまで過去のことは聞かなかったんですか?」
「聞いてましたが、遊びの恋愛だとは知りませんでした」
今、誰よりも幸せな顔をしていなければならない舞さんが、どうして悲しそうな目をしているのだろう。
「タキが本気で愛した女性はこれまでの人生の中で、舞さんだけなんですよ?誇らしいじゃないですか」
アイツはマリコさんのことを真剣に愛していたと、隠しもせずに告げた。
ああ。
こんな時に峰岸のことを思い出すなんて……、
2人も今頃こうして夕食を向かい合って食べているのだろうか。
「誇らしい気持ちにはなれません。言葉が悪いかもしれませんがプレーボーイの周りに集まってくる女性は所詮、その程度の人たちです」
舞さんは過去のタキが許せないのだろうか。