愛のない部屋

「もう修吾も結婚を考える年齢でそこにたまたま私が居合わせたんじゃないかと、不安になるのです……つまり修吾の周りに沢山いる、その程度の女たちよりは私と結婚した方がマシだと考えて…………」


だんだん小さくなる声。
自信を失ったら女は輝けないのに。


「タキのこともっと信じてあげられませんか?」


私のキツイ一言に、彼女の顔がひきつる。
あー、失敗した。


少しの間お互いになにも言わずにいると、できたてのパスタが運ばれてきた。


メニューの写真通り、美味しそうだ。


フォークを取る前に、舞さんを見る。

美味しいものを目の前にしても、曇った瞳。その瞳にはもうタキしか映らないはずなのに、なにを迷う必要があるというのか。


「舞さんが言いたいことは分かりました。タキの傍にいる女性の中から舞さんが選ばれたのは、結婚を前提に考えた結果だと言いたいんですよね」


家庭を築くならば遊び慣れた女性よりも、炊事や洗濯、育児をキチンとこなしてくれる女性がいい。

それに舞さんのような真面目な女性は当てはまるのだろう。

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