愛のない部屋
2皿分を完食をした。
お会計を済ませて外に出る。
そしてタイミングよく振動した携帯電話。
舞さんにも電話番号を教えたことから、
"もしもしタキ?"と、相手を確認せずに通話ボタンを押す癖を直した。
「はい」
ディスプレイに表示された"峰岸"の文字。
『悪い、今日は遅くなる』
挨拶もなく、早口。
急いでいるのだろうか。
「大丈夫?」
腕時計を確認すれば、もう9時を回っている。
マリコさんとなにかトラブルでもあったのだろうか。
『大丈夫だよ。もう切るな』
「……」
用件のみの電話。
『切るぞ?』
「さっさと切れば?」
もっと話したいう気持ちを蹴飛ばす。
『それじゃ、』
あっさりと切られてしまった。
遅くまでマリコさんと話をするのだろうか。
嫌な予感。
なにより峰岸のバックが物音ひとつしないことが不自然だった。
いったい何処で待ち合わせをしたのだろうか。