愛のない部屋

「お腹空いてない?」


「今日、パスタを2人前食べちゃいました」



舞さん、不安が取り除けたなら良いけれど……明日にでもまた電話してみようかな。



「細い身体してよく食うな。それじゃぁシャワー浴びてくれば?寝ようぜ」


「……」



「別に覗いたりしないから、安心して。俺は先に寝てる」



ベッドに移動し、大の字で寝そべる。
いつもは整えられた髪が乱れている。


「おやすみ」


「おやすみなさい」





遠慮なくシャワーを浴びて出てきた時には、篠崎の規則正しい寝息が聞こえた。

上司と2人きり。

なにか起こってもおかしくないシチュエーション。そんな心配をよそにさっさと寝てしまうなんて篠崎らしくて笑えた。


もし此処に篠崎がいてくれなかったら、寂しさに押し潰されていたことだろう。


「ごめんなさい」



こちらに背中を向けている篠崎にそっと謝る。


峰岸に心配をかけないために篠崎さんを利用している。人の優しさにつけこみ、最低なことをしようとしてる。



「謝ることなんて、なにも無いよ」



眠っているはずの男が口を開いた。

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