愛のない部屋
「シャワー借りるね」
まだオムライスを頬張っている峰岸に声を掛ける。一応、家主の許可はとらないとね。
「おまえさ、滝沢さんのことをどう思ってんの?」
まだタキの話しが続いてるらしい。
無表情の峰岸を見て溜め息をついた。
「アンタには関係ないでしょ」
「このまま俺たちが関係を続けていれば、滝沢さんは勘違いしちゃうかもしれねぇんだぞ?」
「はぁ?」
タキがなにを勘違いするというの?
「おまえが滝沢さんを好きだとしたら、此処から早く出て行くべきだ」
恋愛に興味ない私でも峰岸の言いたいことが分かった。
「あのさ?私はタキを異性として好きだと思ったことはないから。尊敬してるし、人としても好き。でもそこには恋愛感情なんてものは存在してないわ」
「自分の気持ち、偽ってるだけじゃねぇの?」
しつこい男。
どうして自分自身に気持ちを偽らないといけないの?
「俺が女だったら、本気で滝沢さんに惚れてるけどな」
なにその、アブナイ発言。
「恋人も好きな人も、私には必要ないから」
「……」
口を結んだ峰岸の方を見た。
疲れた顔をしているが、余裕でイケメンの部類に入る男だ。