愛のない部屋
引き込まれるストーリーのラストは、永遠の愛を誓ったはずの2人が身分の差で結局、別れてしまうものだった。
大好きな作者が書いた恋愛小説で期待をしていたのに、バットエンドで落胆した記憶がある。
好きなのに、両思いなのに
別れなければいけないその理由を、私は今まで納得することができなかった。
でもやっと……。
「私のこと、愛してないって言ってよ」
好きだけれど、別れなければならぬ理由。
――それは相手の、幸せを誰よりも願っているからだ。
峰岸もきっと、私よりマリコさんと一緒になった方が幸せだ。
そもそも私には峰岸を幸せにできる自信なんてなかった。
「マリコさんを愛してるから私のことはどうでもいい、って言ってくれた方がすっきりするの」
『マリコに恋愛感情は無いよ』
「不倫までした恋の諦める理由を、私にしないで」
『どういう意味だ……』
低い声。
峰岸はきっと眉間にシワを寄せているだろう。
また不機嫌な顔をしているのだろうね。