愛のない部屋

『……分かった。もう会わない、電話もしない。おまえはこれで満足なんだろう』


恋は駆け引き。

篠崎さん、私は駆け引きをするどころか自分の気持ちにも正直になれないみたいです。




「サヨナラ、峰岸」




いつか私も"慶吾"って呼びたかったんだけど、無理みたいだね。




『――サ、ヨナラ』




確かに峰岸はそう返した。



別れの挨拶を済まし、私たちの関係は本当に終わってしまった。





交差もせず私たちの道はそれぞれ違う方向に進む。


峰岸に私の抱える全ての気持ちを打ち明けることはできなかったけれど、不思議と後悔はしていない。



だって私の願いは、
峰岸に幸せを掴んでもらうことだから。



私にとってはバットエンドでも、峰岸の歩む道はハッピーエンドに繋がっているだろう。


何よりも最善の道を選択したつもりだった。


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