愛のない部屋
―――それから
3ヶ月経った。
大安の日、タキと舞さんの挙式が行われた。
当然、教会には峰岸の姿があったけれど、心は穏やかだった。
峰岸はもう私には関係のない人だから……。
「舞さん、とっても綺麗でしたよ」
「ありがとう。お世辞でも嬉しいです」
二次会に参加せずに帰る断りを入れると、残念がられた。
「結婚まで辿り着いたのは、沙奈ちゃんのおかげです」
「私?なにもしてないです」
舞さんを見つめると、花嫁らしい穏やかな笑みを浮かべていた。
「修吾が沙奈ちゃんを好きだと疑ったりしたこともありましたけど、沙奈ちゃんはいつも私の味方でいてくれた」
女同士にしか分からないことも沢山あるから、私が舞さんの味方をするのは必然的なことだ。
「親同士が決めたお付き合いで修吾は私なんかに愛情を持っていないんじゃないかと、何度も不安に思っていて。それを隠すためにわざと明るく振る舞い、弱さを隠してました」
好き人の前で良い自分を見せようとするその姿勢が、タキとの愛を実らせたのかもしれないけれど
。私の目には最初からタキは舞さんしか眼中に無いと、映っていたよ。
「でも向き合うことの大切さを沙奈ちゃんが教えてくれたから……私は彼に本音をさらけ出せました」
「そこまで褒められると照れるよ……」