愛のない部屋
濡れた髪をタオルで拭きながら、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。
そしてペットボトルを口元に持って行き、喉仏が上下した。
そんな峰岸の一連の動作を見ていた私ですが急に恥ずかしくなってきました…。
「なに見とれてるの」
「いや、そういうわけでは……」
既にシャワーを浴びた私が座るソファーに移動してきた峰岸にそのままペットボトルを差し出された。
「ありがとう」
間接キスじゃん、なんて思いながら受け取る。
「飲まないの?」
「いただきます」
急かされて、一口飲んだ。
間接キスくらいで、なにを戸惑っているのだろう……。
キスくらい、、もうしてるのに。
無意識に峰岸の唇を見てしまった。
「ん?」
「あ、いや……明日、片付けるね」
慌ててリビングの片隅に積まれたダンボール箱を指差す。
「ああ。でもそれは手元に持ってるんだ」
「……」
私の膝の上に横たわるライオン。
それを取り上げる峰岸は少し嬉しそうだ。