愛のない部屋


「だから、私、面倒くさいかも」


「俺は大歓迎ですけど」



峰岸の顔が近付いてくる。

その長い睫毛に、綺麗な瞳に、高い鼻に。


見とれている余裕はなかった。



「んっ、、……あ、…」



だんだんと深くなるキスに、翻弄される。


そのまま峰岸の角ばった男らしい手が、パジャマの中に侵入してきても抵抗できず

流されるままに、快楽に溺れた。




時々峰岸が"愛してる"、なんて囁いてくれたけれど。



私はそれに答えることができず、言葉にならない声を上げていた。


代わりに心の中では何度も、何度も繰り返す。



――私もアイシテル。






「力抜けよ」



「う、ん……」



初めての瞬間は、峰岸の優しさに救われた。



彼の気遣いのおかげで痛みよりも幸福感に包まれる。








肌が触れ合うことが気持ちよくて、いつも以上に彼を近くに感じた夜、



私は本当の意味で、峰岸の女になった。


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