愛のない部屋
タキが去り、空き缶を片付ける。
一瞬にして居心地の悪い空間に舞い戻る。
「なぁ」
「……はい」
「もう1週間が経つけど、おまえはこのままで良いわけ?」
「……」
ソファーに座り直し、峰岸と向き合う形になる。
なんとなく始まった同棲生活。一度、きちんと話しをしなくてはと思っていたけれどたぶん今がその時だ。
「アンタはどうなの?」
「良いわけないだろ」
と、即答。
「それじゃぁ引きずってでも私を外に出せば良いじゃない」
そっちが力ずくなら、出ていきやすい。
追い出された、という言い訳ができることは好都合だ。
「俺はおまえを泊めるように、滝沢さんから頼まれたんだ。どんなにウザくても追い出せねぇよ」
「私も同じ理由で、出て行けない」
「……」
「……」
沈黙。
それに耐えきれなくなったのは私の方で、言葉を探す。
「あ……、えっと。それじゃぁお互い不本意ではあるけれど、今のままが一番いいんだよね?」
「そうだな」
納得が行かないのか、ぶっきらぼうな口調。
「本当は私だって嫌なんだから!」
「分かってるよ」
「あ、そう」
いったいこの同棲生活は、後どれくらい続くのだろうか。