世界で一番似ている赤色







優にぃと別れて1年が経った。


心にすっぽり穴が開いたままだったけれど、わたしはそれなりに楽しい高校生活を送っていた。



「俺、綾ちゃんのこと好きです! 付き合ってください!」


「えええっ!?」



クラスメイトの川瀬くんに呼び出されたかと思えば、なんと突然の告白!


友達としか思っていなかったのに。どうしよう!



川瀬くん、優しいし、顔もそれなりかっこいいし、さりげなく気遣ってくるし、いい人なんだけれど……。



「えっと。ありがとう。嬉しい」


「じゃあ付き合う……」


「それは、そのぉ、考えさせてくださいっ!」



ぺこり! と一瞬で90度のお辞儀をし、なぜか中腰のままその場から逃げた。


うわあああ! 告白されたことはあるけれど、他のクラスの知らない人とか、話したことない人とか、そういう人ばかり。


クラスメイト、しかもよく喋る人から告白されたのは初めてだ。



「朱里ちゃんどうしようどうしようどうしよう!」


「綾ちゃん落ち着いて! 何かあったの?」



慌てて朱里ちゃんのクラスに駆け込んだ。


いやでも……勢いのまま来てしまったものの、やっぱり他の人にバラしちゃ川瀬くんに悪いよな。


というわけで、


「ごめん! やっぱ何でもない!」


と回れ右をした。


しかし、「おい待て」と呼び止められ、非常階段へと連行された。

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