世界で一番似ている赤色
☆
優にぃと別れて1年が経った。
心にすっぽり穴が開いたままだったけれど、わたしはそれなりに楽しい高校生活を送っていた。
「俺、綾ちゃんのこと好きです! 付き合ってください!」
「えええっ!?」
クラスメイトの川瀬くんに呼び出されたかと思えば、なんと突然の告白!
友達としか思っていなかったのに。どうしよう!
川瀬くん、優しいし、顔もそれなりかっこいいし、さりげなく気遣ってくるし、いい人なんだけれど……。
「えっと。ありがとう。嬉しい」
「じゃあ付き合う……」
「それは、そのぉ、考えさせてくださいっ!」
ぺこり! と一瞬で90度のお辞儀をし、なぜか中腰のままその場から逃げた。
うわあああ! 告白されたことはあるけれど、他のクラスの知らない人とか、話したことない人とか、そういう人ばかり。
クラスメイト、しかもよく喋る人から告白されたのは初めてだ。
「朱里ちゃんどうしようどうしようどうしよう!」
「綾ちゃん落ち着いて! 何かあったの?」
慌てて朱里ちゃんのクラスに駆け込んだ。
いやでも……勢いのまま来てしまったものの、やっぱり他の人にバラしちゃ川瀬くんに悪いよな。
というわけで、
「ごめん! やっぱ何でもない!」
と回れ右をした。
しかし、「おい待て」と呼び止められ、非常階段へと連行された。