世界で一番似ている赤色


グラウンドでは男子たちがサッカーをして遊んでいる。


相手のディフェンスをかいくぐり、シュートを決めた大和くんの姿が見えた。



「やっぱり! 川瀬くんって綾ちゃん狙いだったんだ~」


「へ?」



朱里ちゃんは予想通りと言わんばかりの反応。


逆にわたしがびっくりしてしまう。



「だってわたしが綾ちゃんのクラス行くと、川瀬くんいっつも話に入ってくるし。大和くんのこと超ライバル視してるしー」


「待って待って。何言ってるかわかんない!」



今年の4月。わたしは無事、T南高校に入学した。


必死に勉強を頑張った結果、トップクラスの成績で合格できたらしい。



『やった! みんな一緒だぁ!』



朱里ちゃんも美佳ちゃんも、一緒に合格できた。けれど。



『わたしB組』

『え。あたしはF組』

『うわ、G組だ……やだー! 離れ離れじゃん!』



悲しいことにクラスがバラバラになった。


B組だったわたしは、友達と離れたショックのあまり、懐かしいあの名前がクラス表に書かれていたのに気づいていなかった。



ビクビクしながらB組の教室に入った。



すると――


『綾。久しぶり』


と知っている声がした。



『えっ!?』



光の速さでその声の方へ顔を向けた。


転校してからもたまにラインはしていた。


どの高校行くかという話題もあった。


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