世界で一番似ている赤色


『や、やややや!』


びっくり&恐怖により言葉にならない。


だって、彼は――


かつてわたしをいじめていた。中学時代に彼が原因で嫌がらせを受けたこともあった。ついでにたまにラインする仲だった。


あの、大和くんだったから。



まさか、まさか、ここで再会するとは……。


中学時代の嫌な思い出がよみがえりそうになった。が。



『てかびっくりした。前と髪型すげー変わってるから』


『あー。去年一回バッサリやったんだよねー』


『俺このクラス知ってる人いないし、仲良くしよ』



身構えたわたしに対し、彼は照れたような笑顔を浮かべた。



うーん、よく見ると前よりかっこよくなってますねぇ。



中学の頃より背が伸びて、髪の毛も今どきな感じになっていて、他の女子からの視線も浴びていて。


完全なるモテオーラを漂わせている。


ってことは……。


やばい! 大和くんと仲良くしたら、また女子に目をつけられる!


クラス替え早々、ぞーっと嫌な予感に包まれた。



かと思えば、意外なことに、



『綾ちゃんっていうんだ。仲良くしよー』


『大和くんと知り合いなの? 付き合ってるの?』


『ねー大和くんって何中出身? 彼女いるの? ライン知ってる?』



『あ、あはは……(わたしに聞かれても……)』



イマドキな女子たちからの質問詰めを食らうだけにとどまった。



中学の頃と違って、まわりの人たちはフレンドリーだった。


それはわたしが人に心を開きたい、仲良くなりたいと思うようになったからかも。


< 105 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop