世界で一番似ている赤色
『や、やややや!』
びっくり&恐怖により言葉にならない。
だって、彼は――
かつてわたしをいじめていた。中学時代に彼が原因で嫌がらせを受けたこともあった。ついでにたまにラインする仲だった。
あの、大和くんだったから。
まさか、まさか、ここで再会するとは……。
中学時代の嫌な思い出がよみがえりそうになった。が。
『てかびっくりした。前と髪型すげー変わってるから』
『あー。去年一回バッサリやったんだよねー』
『俺このクラス知ってる人いないし、仲良くしよ』
身構えたわたしに対し、彼は照れたような笑顔を浮かべた。
うーん、よく見ると前よりかっこよくなってますねぇ。
中学の頃より背が伸びて、髪の毛も今どきな感じになっていて、他の女子からの視線も浴びていて。
完全なるモテオーラを漂わせている。
ってことは……。
やばい! 大和くんと仲良くしたら、また女子に目をつけられる!
クラス替え早々、ぞーっと嫌な予感に包まれた。
かと思えば、意外なことに、
『綾ちゃんっていうんだ。仲良くしよー』
『大和くんと知り合いなの? 付き合ってるの?』
『ねー大和くんって何中出身? 彼女いるの? ライン知ってる?』
『あ、あはは……(わたしに聞かれても……)』
イマドキな女子たちからの質問詰めを食らうだけにとどまった。
中学の頃と違って、まわりの人たちはフレンドリーだった。
それはわたしが人に心を開きたい、仲良くなりたいと思うようになったからかも。