世界で一番似ている赤色
「うーん……」
放課後デートしたり、制服で手をつないでいるカップルを見ると、いいなぁとは思う。
でも話を聞いたり、見たりするだけで十分だった。
彼氏を作ったらわたしも一歩、踏み出せるのかなぁ。
優にぃのことを忘れてしまえるのかなぁ。
「まだわかんないや。でも、川瀬くんのことちゃんと考えてみようと思う」
「うんうん。そうしなよ。で、もし付き合ったらダブルデートしよ!」
それ、話早すぎー! と言い返したものの、朱里ちゃんが楽しそうだからまあいっかと思った。
去年、突然優にぃはお父さんとともに海外へ引っ越しをした。
もう連絡しないと約束した。
引っ越し先の住所は分からないし、携帯も変えたらしく、連絡を取る手段もなかった。
わたしはクラスで普段通りふるまおうと頑張ったものの、時々彼を思い出してはつらい気持ちになった。
そんな時、唯一わたしの事情を知っていた朱里ちゃんが話を聞いたり、そばにいてくれたりした。