世界で一番似ている赤色



帰り道、駅のホームで電車を待っていると、わいわい騒ぐ男子軍団が近づいてきた。


ちらっと目をやると、よく知っている男子と目が合った。



「あ」


「おー綾じゃん」



どうやらサッカー部の1年グループらしく、ジャージ姿の大和くんがその中にいた。



「今帰り? 遅くね?」



まわりの男子に肘でつっつかれまくっているのをものともせず、彼はわたしに話しかけてくる。



「うん。まあ」



さっき川瀬くんに気まずい思いをさせてしまったことや、今のシチュエーションが恥ずかしくて、下を向いた。


電車がホームに入ってくる。


彼は友達と一緒だし、バイバイして別の車両に乗ろうかな。と思ったが、


「どした? 元気ないじゃん」



と、大和くんは心配そうな顔でわたしを見つめた。



「ある。めっちゃある! 元気!」


「悪い、俺こいつと帰るわ。……綾、あっちの車両乗ろう」


「ええっ!?」



川瀬に怒られるぞー、あいつやるなぁー、という声をBGMに、わたしは大和くんに隣の車両へと連れていかれた。


< 113 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop