世界で一番似ている赤色
帰り道、駅のホームで電車を待っていると、わいわい騒ぐ男子軍団が近づいてきた。
ちらっと目をやると、よく知っている男子と目が合った。
「あ」
「おー綾じゃん」
どうやらサッカー部の1年グループらしく、ジャージ姿の大和くんがその中にいた。
「今帰り? 遅くね?」
まわりの男子に肘でつっつかれまくっているのをものともせず、彼はわたしに話しかけてくる。
「うん。まあ」
さっき川瀬くんに気まずい思いをさせてしまったことや、今のシチュエーションが恥ずかしくて、下を向いた。
電車がホームに入ってくる。
彼は友達と一緒だし、バイバイして別の車両に乗ろうかな。と思ったが、
「どした? 元気ないじゃん」
と、大和くんは心配そうな顔でわたしを見つめた。
「ある。めっちゃある! 元気!」
「悪い、俺こいつと帰るわ。……綾、あっちの車両乗ろう」
「ええっ!?」
川瀬に怒られるぞー、あいつやるなぁー、という声をBGMに、わたしは大和くんに隣の車両へと連れていかれた。