世界で一番似ている赤色
4
☆
優にぃはやっぱりイジワルだ。
――綾の2つ前の苗字。
そんな言い方しないで、自分の苗字って言えばいいのに。
彼とわたしが兄妹だった現実を突きつけられたような気がした。
ラインを検索すると、優にぃを見つけることができた。
「う~~」
悩んだ末、友達申請もメッセージも送らないことにした。
またつながりを持ってしまったら、自分の気持ちが止められなくなるから。
月曜日。わたしは川瀬くんをいつもの川沿いの道に呼び出した。
緊張しながら、草むらの土手に腰かける。
曇り空から夕日が顔を出していて、川は光をいろんな方向に反射させながら静かに流れていた。
「綾ちゃん、どうしたの? 改まって」
張り詰めた空気が漂う中、彼はいつものように微笑みかけてくる。
視線を合わせないままわたしは伝えた。
「ごめん。別れよう」って。
カラスの鳴き声、後ろの遊歩道を歩く子どもたちの声、自転車が走り抜ける音。
BGMがやたら大きく聞こえる。
早くこの場から離れたくて仕方がない。だけど、ちゃんと決着をつけなきゃいけない。
悲しませるか。それとも怒られるか。
いろんな覚悟はしていたけれど。
「ほぇ。なんで?」
返ってきたのは、きょとーんとした感じの声。