世界で一番似ている赤色
恥ずかしさやいたたまれさが込み上げてきて、フォークを置いた。
恐る恐る優にぃをチラ見すると。
「嘘、ついた?」
優しい声が返ってきて、目の奥がつんと痛んだ。
「…………」
成長した自分を優にぃに見せたかったのに。
やっぱりわたしは弱くて、すがりつきたくなってしまう。
本当のことを言えば、きっと優にぃは受け止めてくれるから。
『綾、それ誰にやられた?』
『公園で転んだ』
昔、公園で大和くんに突き飛ばされ、服を汚して帰った時のこと。
泣いた後だから目も腫れていたのに、嫌がらせをされたことが恥ずかしくて、わたしはすぐバレるような嘘をついた。
あの時は家の中が険悪なムードだったため、お母さんもお父さんも取り合ってくれなかった。
わたしと向き合ってくれるのは優にぃだけだった。
『綾、ここ座って。本当に転んだだけ?』
頼れるのも優にぃしかいなかった。
結局、泣きながら本当のことを話すハメになった。
『は? 何でまだ掃除終わってねーの?』
『綾ちゃん、本当はすげー性格悪いんじゃね?』
学校での嫌な出来事が次々よみがえってくる。
言い返すことができないわたしも悪い。だからこそ、苦しい。
気がつくと、
「学校、楽しくない……」
と優にぃに本音をこぼしていた。