世界で一番似ている赤色

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学校の人に見つからないよう、トイレで時間を過ごしてから家とは逆行きの電車に乗った。


つけられていないか後ろを確認し、優にぃ家の最寄り駅で降りる。



コンビニで立ち読みをしていた彼は、A北の制服を着ていた。



階段を降りる。窓越しに目が合う。


緊張した面持ちで、彼はコンビニから出てきてくれた。



「嘘つき」



軽い怒りをぶつけると、彼は深いため息をついた。


でも、その表情は何かがふっきれたような、すっきりとしたものだった。



「あっちにファミレスある。行こ」



彼はそう言って、横目でわたしを促した。



人がちょこちょこあふれ出してくる駅から離れ、薄暗い道を2人で進む。


優にぃは腕まくりをしたシャツにゆるめのネクタイ、チェックのズボン。


かつて調べたことがある、A北の制服そのままだった。



県道へ続く道路は歩道が広く、中高生らしき男女に自転車で追い越される。


ファミレスにも家族連れや、学生カップルがちらほら見えた。


話し声や笑い声が響く中、わたしたちは窓際の席へと通された。



「ねぇ、知ってる人いない? 大丈夫?」



きょろきょろしてから、優にぃにこそっと聞く。



「別に誰かがいたところで、他校の女子と飯食ってるだけにしか見えないでしょ」



彼はメニューを見ながらこう続けた。



「綾ももう高校生だしね」


「…………」



わたしは、やっと彼に子ども扱いされない年齢になれたらしい。

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